シナモンというとカプチーノやアップルパイ、シナモンロールなどに使われるスパイスですね。シナモンは桂皮ともいい、漢方薬にも使われています。市販の胃腸薬にも配合されていますから、知らないうちに摂取している可能性もある、身近な食品です。
ただ、そのシナモンのある成分が摂り過ぎると体に悪影響を及ぼすということがわかっています。
Contents
シナモンの成分クマリンが肝機能に悪影響・妊婦さんも注意
シナモンのあの香りの成分でもある「クマリン」が要注意なのです。
東京都福祉保険局のサイトでもこんな記事がありました。「シナモンを含むサプリメントの過剰摂取にご注意」
これはドイツのBfR(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所)での研究結果に基づく発表だそうです。クマリンの過剰摂取によって肝機能に障害が出る恐れがあるとのこと。さらに妊娠女性は胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるためリスクがあるということです。
ただし、これはシナモンをカプセルに入れたサプリメントを継続摂取した実験からの結果です。シナモンのサプリは血糖値を下げるためのダイエット食品として販売されています。わりと大量に毎日シナモンを摂ることが勧められるようですが、これが肝臓には良くないということ。(もちろん、起こるかもしれない肝機能障害は治療できる軽度のものです)
ダイエット目的でシナモンサプリメントの摂取を考えているなら控えたほうがいいかもしれません。
しかしスパイスとしてお菓子や飲み物で摂取する程度では影響はないということです。ドイツではシナモンクッキーやクリスマスに食べるシュトーレン、シナモンロールなどにたくさんシナモンを入れて作る習慣があるそうですから、そうしたものを食べ過ぎることも注意しなくてはいけないということになります。でも日本ではそこまで大量にシナモンが入った食品を続けて食べるということはあまりなさそうですよね。
とはいえ、冷え対策や婦人科の疾患の対策と思ってシナモン入りドリンクなどを意識的に多く飲んでいる人には、少々気になる情報です。
シナモンの産地によってすごい差が!
クマリンという成分が要注意ということですが、これはシナモンの種類によってかなりの含有量の差があります。
前述したカシア種のシナモン(別名チャイナシナモン)には非常に多いのですが、セイロンシナモンだとその200分の1程度しか含まれないそうです。
カシア種でも産地によってかなり差があります。
東京保健局の調査実験によると、ベトナム産が最も多く、その半分以下がインドネシア産、継いでマレーシア産。中国産はベトナム産の9分の1しか含まれていませんでした。
中国産シナモンのクマリン濃度が一番低いということですが、それでもセイロンシナモンの42倍程度はあります。
シナモンは一日何グラムまでならOK?
BfRの資料によると、クマリンの摂取量の限度というのは感受性の高い人であれば少量でも影響があるそうです。一日の摂取量の限度として、体重1キロあたりクマリン0.1ミリグラムという目安が設定されています。
またシナモン中のクマリンは、市販されているほとんどのメーカーが使用している「カシア種」のシナモンで1グラム中0.11から0.85ミリグラム程度ということです。結構開きがあるので中間値をとると0.98mg。わかりやすくするために繰り上げて1mgとしましょうか。シナモン1gあたりクマリンは平均1mg入っていると覚えることにします。
そうすると、50キロ前後の女性で考えますと、シナモン一日約5g程度が限度ということになりますね。
S&Bのシナモンパウダーの小瓶(丸いフタのもの)で12g。GABANの小瓶では15gです。ということは、あの小瓶の3分の1程度を一日に摂取すると考えたらかなり多いですね。普通そんなに摂取しないんじゃないでしょうか。
東京保健福祉局の調査では別の計算方法をしている
ドイツとは食習慣も違うし、メーカーも異なるので上記の計算ではどうなんだろうと思うなら、東京福祉局の計算方法がいいかもしれません。(詳しい報告資料はこちら)
「平成16年国民栄養調査の食品群別栄養素等摂取量」の中の「香辛料・その他」が1日あたり0.2gなので、これをすべてシナモンで摂取したと仮定しての計算だそうです。
ここでも体重50㎏の大人のクマリン摂取限度量は一日当たり5mgとしています。
シナモンの産地別にクマリン濃度を考慮したシナモンの1日許容量
・セイロンシナモンで364.58g
・カシア種ベトナム産シナモンで0.9g
・カシア種中国産シナモンで8.62g
このようにずいぶん差があります。
それにしてもセイロンシナモンの364gって・・・シナモンパウダーだけでケーキでも作ればそうなるでしょうが。思いっきりシナモンロールを食べても大丈夫ですね。
でも使っているシナモンがベトナム産だとしたら、これは量に注意しなくてはなりません。
市販のシナモンのスパイス小瓶からササッと振り入れるとしたら、一振りは大体0.1gだそうです。シナモントーストには2振りくらいです。飲み物にちょっと入れるには一振りで十分ですが、私は多めに摂りたいときは3振りくらい入れることもあります。3振り入れるなら一日3回までですね。
あと、お菓子の八つ橋にはかなりシナモン入っていますね。好きで頻繁に食べる方は注意かも。
シナモンを購入する前に産地と品種をよく確認したほうがいいでしょう。
セイロンシナモンを見分けるには?
シナモンスティックの状態だとすぐわかります。
セイロンシナモンはもっと巻きが重なって何重にもなっています。雑誌を丸めたときのように、層ができているものならセイロンです。
でもパウダー状のものはわからないですね。カシア種のほうが芳香もよく、これまで広く流通しているため、表記のない市販のシナモンパウダーはほとんどがカシア種と言われています。カシア種でないと独特の香りが薄いため、お菓子にも一般にはカシア種が使われていると考えて間違いないでしょう。
カシア種のシナモンであっても量に気をつけて使えば問題ないわけです。しかも、古くから知られてきたシナモンの効能は、カシア種のシナモンのものなのではないかとも考えられています。そうすると、「カシア種はよくないからセイロンで」と決め付けるのもどうかということになりますね。
最近はGABANなどのメーカーでも「セイロンシナモン」と表記したタイプを発売しています。大量に使いたいならセイロン、香り重視で少量使うならカシア、と使い分けるのがおすすめ。
もっと割安にセイロンシナモンを使いたい!というのであれば、最近の製菓材料やハーブの専門店では品種を明記して販売しているところが多くなっているので、そこから探すといいかもしれませんね。私が気に入ってよく利用するショップでもセイロンシナモンパウダーがあります。(100%スリランカ産セイロンシナモン(オーガニック) 香詩苑というお店です。)
子宮筋腫など婦人科の病気の治療にも使われるのが桂皮(シナモン)です。適度に毎日の食事に取り入れたいですね。