手術をしたくない理由は「お腹に傷が残るから」と「子宮を残したいから」がほとんどですよね。このどちらもかなえてくれるのが、最新の医療でもあるUAE(子宮動脈塞栓術)です。
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UAEはどんな治療?
子宮筋腫につながる動脈を詰まらせて、筋腫への栄養と酸素を遮断します。そうすると、次第に筋腫は小さくなり、最後には壊死します。半年から1年後には半分から3割程度の大きさにまで小さくなることがほとんどだそうです。手術が難しい多発性筋腫の場合にも多く使われる治療です。また子宮腺筋症にも有効です。
ただし、子宮筋腫が消えてしまうわけではなく、小さくなるだけなので、大きな筋腫の場合は術後もまだまだ大きさがある状態です。(大きさは最大で3割程度にまで縮小すると言うが、これは容積のこと。容積が3割になっても、計算上はサイズは7割にしかならない。(直径15センチの筋腫なら直径10.5センチにサイズダウン))
また、どれくらい縮小するかというのは筋腫の位置や種類その他、個々の状況によって異なるそうで、思ったより縮小を実感できないということもあるようです。それでも少しでも筋腫が小さくなることで、過多月経によるつらい貧血症状や、筋腫による圧迫痛などが軽くなることが期待されます。
太ももの付け根からカテーテルを挿入して、血管を塞ぐ物質(ゼラチンスポンジ、エンボスフィアなど)を注入する作業です。筋腫に向かっている血管にのみ注入するには繊細な技術が求められます。傷はカテーテル挿入の痕だけで済みます。
妊娠のチャンスも残せる
調べた資料によっては「妊娠を希望していないこと」が条件に挙がっているものもあったのですが、多くの資料では「術後の妊娠は可能」となっています。病院によっても異なるようで、妊娠希望者の場合は配慮した治療を行う方針のところも多いようです。
実際にはUAE治療後に妊娠した実例はたくさんあります。ただし、胎盤の位置異常や胎盤癒着などの問題が生じることがあるために、妊娠希望者には積極的には勧めていないようです。
妊娠の希望があるなら最初に病院の方針をよく聞いて、リスクについても確認しておいたほうがいいですね。
術後の腹痛が続くのが辛い人も
動脈を塞ぐことで、下腹部には痛みが生じます。これは半日程度は必ず生じる痛みだそうで、鎮痛剤が処方されますがあまり効かず辛いという人も多いよう。
その後1週間くらいは生理痛のような痛みが断続的に起きるようです。
数日後に痛みが強くなり、「魚の腐ったような臭い」のするおりものがあるときには感染症が起きているので、すぐに治療が必要です。
保険が効かないので自費
多くの病院では保険が効かず、自費で支払わなくてはなりません。費用の目安は40万円。
でも、一部保険適用できる病院があります。これは病院の設備や医師の経験が一定の基準を満たしている場合に認定されています。保険適用になると患者の負担額は8万円くらいです。
これは平成26年春からの変更なので、これからどんどん認定病院が増えるんじゃないでしょうか。
こんなケースはできない
- 閉経後である
- ヨード造影剤にアレルギーがある
- 悪性腫瘍が疑われる
結果的に切除手術が必要になる場合も
数日後に壊死した筋腫が子宮内に落ちてきて、感染症を引き起こすことがあります。この場合は前述のように腹痛と悪臭のあるおりものが目印になりますので、すぐに診てもらわなくてはなりません。でも子宮鏡手術で取り除けばよいので、おなかの傷跡は小さくて済みます。
ただし、子宮内膜炎が生じ抗生物質では抑えきれない場合に、子宮全摘手術が必要になることもあります。
これらは確率的にはかなり低いようなのですが、覚えておきたい点ですね。
さらに、しょう幕下筋腫(子宮の外側にできるもの)が壊死したあとで取り出すために開腹する必要が生じることもあります。ただ通常は、そのまま体内に残しても問題ないそうです。
UAEによる治療まとめ
- 多発性筋腫や隠れている小さな筋腫にも効果を発揮する
- 大きい筋腫には、サイズダウンはそれほど望めないこともある
- 妊娠希望の場合は、病院を選ぶべき